僕のWebディレクター心得(卒業のあいさつに代えて)

こんにちは!前ちゃんこと、ディレクターの前田です。

一部の方々には既にお知らせしておりますが、本日、10月末日をもってグランフェアズを卒業することとなりました。 2012年の10月からここでお世話になって以来、まるっと4年間。振り返ってみると、あっという間の4年間でした。 (ちなみに上の画像は、2012年のグランフェアズ合流時の手帳と、本日2016年10月31日の手帳です。)

今回は卒業のあいさつに代えて、これまでグランフェアズで過ごしてきた時間を振り返り、心に移りゆくよしなし事を書き連ねてみます。少々お付き合いいただければ幸いです。

僕は、エセWebディレクターだった

最初にグランフェアズに加わることになった経緯から・・・。

グランフェアズに入る前、僕は自分の仕事にどこか自信を持てないWebディレクターでした。冗談めかしてはいたものの、ときに「自分はエセWebディレクターです」と自己紹介していたくらいに、自信がありませんでした。

Webに関するバックグラウンドを持たないまま、異業種からこの業界に入ったために、Webに関する知識やスキルが他の人より劣る。自信のもてない原因をそう考えていました。
そして、そんな自分を早く変えなければ!と焦りもがいている時期だったと思います。

とある勉強会で知り合ったCTO藤田から「グランフェアズで一緒にやらないか」と誘われたのは、そんな時でした。
「一緒にやれば、自分のことをエセWebディレクターだなんて言わなくていいようになれる」とも言われ、グランフェアズの一員になる決心をしたのを憶えています。

Webディレクター「超人」になりたい!と思った

そんな経緯でグランフェアズで働くことになるわけですが、入ってみて特徴的だなと思ったことのひとつが、プロジェクトチームのあり方でした。

グランフェアズの仕事の多くは、ディレクター集団であるグランフェアズが、サイト制作に入るまでの上流工程を担当しつつ、全体を仕切りながら、プロジェクトごとに様々な分野の外部パートナーとチームを組むスタイルで進められます。

それまで、大部分を社内のメンバーで賄う体制しか知らなかった自分にとって、それは新鮮なものでした。

社内のプロデューサー、ディレクターをはじめ、プロジェクトごとに集まるプロフェッショナルは多岐にわたります。

  • アートディレクター
  • デザイナー
  • マークアップエンジニア
  • プログラマー
  • マーケッター
  • アナリスト
  • ライター
  • カメラマン

などなど

それはさながら、それぞれに得意技・必殺技を持ち活躍する、キン肉マンの「超人」たちが勢揃いするようにも見えました。(キン肉マン世代なので・・・すみません。続けます。)

一方、まだまだ足りない自分は、そんな超人たちに憧れて超人を目指す生身の人間「ジェロニモ」のようだと思ったものでした。
(実際はジェロニモというのもおこがましいくらいでしたが。)

※知らない人にはまったく伝わらない喩えなので、少しだけ解説すると・・・
ジェロニモは、キン肉マンたちのような人間を超越した存在「超人」に憧れながら一緒に戦う、主要キャラで唯一の人間ファイターで、一回死んだあと、最後には念願かなって超人として復活します。
詳しくは、少年漫画の大名作「キン肉マン」を!

心がけていたふたつの考え

そんな「超人」のようなプロフェッショナルに囲まれながらの環境で僕は、得難い経験をたくさんさせてもらいました。
そして今回は、そんなグランフェアズでの仕事を通じて出会い、本当のWebディレクターを目指すための心得になった、ふたつのことばを紹介したいと思います。


「お客さまのファンになる」

まず紹介したいのは、「お客さまのファンになる」です。
これは、折に触れて代表の大和が口にすることばで、自分の中でも一番強く残っているものです。 (詳しくは、これに関する大和のエントリも併せてどうぞ。)

お客さま自身のことを知る、お客さまのサービスを知る、お客さまのお客さまを知る・・・。
とことんお客さまのことを知り尽くして、お客さまよりお客さまについて詳しいくらいになる。
それが、「お客さまのファンになる」という考え方の第一歩です。

個人的な経験から、この考えにはふたつの作用があると思っています。

ひとつ目は、お客さまのことが「他人事」から「自分事」になるということ。

自分は、サイト運用を担当することも多かったのですが、運用の仕事というのは、決まったルーチン作業も多く、ともすれば、それを「こなす」だけになりがちです。実際、自分でもそうなることがありました。

そうなるのは、頭のどこかでお客さまのサイトはお客さまだけのもの、つまりお客さまの仕事を「他人事」と思っているからだ、と指摘されたことがあります。

しかし、お客さまのファンになっていれば(なろうとしていれば)、それは自ずと「自分事」となる。すると、作業をこなすだけではなく、そこにプラスアルファの提案ができるようになる。
そして、そうなってからようやく、自分のやっていることが「作業」ではなく「仕事」と呼べるようになるのだ、とも教えられました。

ふたつ目は、お客さまにパートナーとして認められるようになるということ。

お客さまのファンになり、「自分事」として「仕事」ができるようになると、お客さまの自分たちへの見る目も変わっていきます。
作業の依頼をする先の「業者」ではなく、仕事の相談をできる「パートナー」として接してもらえるようになるのです。

担当していたお客さまに「わたしたちでも忘れていたサービスを覚えていてくれた。」とおっしゃっていただくことがありました。「あ、このお客さまのファンになれていた!」と実感できた瞬間でした。
実際にこのお客さまからは、「これはどのように解決したらいい?」というようなお仕事の相談はもちろん、時には愚痴をお聞きするなんていうこともありましたw
少しでも、パートナーとして信頼いただけたのかなと思うと、自分が学び心がけていたことが間違いではなかったのだと、ホッとします。


「あたりまえのことを、あたりまえに続ける」

もうひとつのことばは、「あたりまえのことを、あたりまえに続ける」というものです。
以前、トヨキンさまを紹介するエントリでも、このことばが出てきましたが、これも、自分にとって大切な考え方です。

トヨキンさまのように、あいさつや整理整頓をすることもそうですし、例えば上の項で書いた、お客さまのことを自分事にすることも、作業で終わらせないようにすることも、それぞれ特別なことではないと思います。
そんなこと、仕事をする上であたりまえのことじゃないか。と思われるかもしれません。

ただ、そのあたりまえを実行し、積み重ねることは容易ではない、というのが4年間を通じての実感です。

これはもう、目の前にあるあたりまえのことを、愚直にひとつひとつ対応していくことを心がけるしかありません。 そうしているうちに、これまであたりまえでなかったことが、あたりまえのことになり、ふと振り返ると、高いところに来たことに気づく。
そういうことなのだな、と最近わかるようになってきました。

スキルは大事、マインドはもっと大事

少し恥ずかしいですが、包み隠さず言えば、自分はグランフェアズの中でもたくさん叱られたメンバーだと思います。

ただ振り返ると、スキルが足りないことで叱られたことは一度もありません。ダメ出しをもらうのはいつも、マインド部分の不足に対してだったと思います。

冒頭でも書いたように、自分で自分をエセだと思っていた時、僕はそれを自分のスキル不足が原因だと思っていました。しかし、そうではなかったのです。

スキルを磨くことはもちろん大事です。それはどんな仕事においても、続けていかないといけないことでしょう。
自分も、グランフェアズでの時間を通じて、スキルとしてできるようになったことはたくさんあります。
しかしその前に、どういう心持ちで仕事に向かうか、どういう意識でお客さまと接するかという、マインドの部分ををおろそかにしては、そのスキルも活きないことを色んな場面で痛感しました。

スキルセット、マインドセットなんていうことばで語られることもありますが、自分に自信がなかった時に一番足りていなかったのは、スキルの部分ではなく、マインドの部分だったのだと、いまは気づくことができます。
そして、(もちろん足りないこともまだまだ多いけれど)自分のことを「エセWebディレクター」だなんて思うことはなくなりました。

また、グランフェアズは、自分たちをパートナーとして認めてくださるお客さまに恵まれています。

それもこれもグランフェアズには、先に紹介した「お客さまのファンになる」や、「あたりまえのことを、あたりまえに」のような、グランフェアズとしてのマインドセットと呼ぶべきものがあり、それらを諸先輩方がきちんと言語化し、後進のメンバーたちに受け継いできたからだと思います。

むすびに

最後になりましたが、お客さま、パートナーの皆さま、これまでのご指導ご鞭撻に心より感謝申し上げます。
そして、グランフェアズの皆さん、これまで支えていただき本当にありがとうございました!

今回、自分は家庭の事情があり、グランフェアズから去ることとなったため、僕自身は道半ば、ジェロニモみたいに、人間から超人にはなれなかったかもしれません。
ただ、次に皆さんと顔を合わせるときには、今より少しでも超人に近づいている姿を見せられればと思います。

それでは、またお会いするそのときまで!

グランフェアズ魂を胸に。
前ちゃんでした。

グランフェアズ魂を胸に