リーン・スタートアップ

私たちが置かれている事業環境は、この数年で大きく変わっていくことが予見されます。Webを生業にする私たちが、根底に感じている価値・働き方を実現していくには、その渦に巻き込まれないようにしなければなりません。それには、変化に強いチームづくりが必須です。

今回は、グランフェアズの「リーン・スタートアップ」についての考え方を書きます。

スタートアップ時のブランディング

このタイミングでVI計画を実行した理由

2013年のスタートに合わせて、グランフェアズはVI計画に着手しました。着手した理由は、大きく2つあります。一つは、チームの状況がVIにも投資できるフェーズに到達したこと。2つ目は、グランフェアズのことを正しく知ってもらい、共感してくれる方たちとのエンゲージメントを強めたかったということです。

VIは無形資産です。消費をされず、価値を失わないものです。使えば使った分だけ、逆に付加価値を生み出すものだと考えています。しかし、価値を生み出すVIを本格的にやるためには、運用計画が必須です。これがないと、付加価値を発生させることができません。しかし、今までの僕たちは、そういった運用計画を持ちあわせていませんでした。だから、ピボット(※)を繰り返し、その度にターゲットの反応を見ていました。(※リーン・スタートアップに関連するワードで、小刻みなサイクルで顧客フィードバックを得て、カイゼンをしていくという意味です。)

投資できる体力、運用計画、計画を実現できるリソースが揃ったため、このタイミングで動き出すことを決めました。

ブランディングと投資のジレンマ

自分たちのスタンスをうまく伝えられていないこと、それは僕たちにとって大きなジレンマでした。実際にお会いする方には、僕たちが何を考えているかを伝えることはできました。しかし、直接お会いすることができない方々には、どうもうまく伝わってはいなかったようです。

ジレンマと向き合う

ブランディングできていないことも、投資によるロスも、両方がグランフェアズにとってはリスクです。そこで、どちらが「ムリがあって、ムダを生む」のかを考えました。結果、このタイミングでの投資の方が「ムリがあって、ムダを生む」と判断しました。チームとして実績を積み上げることを優先したのです。言ってみれば、看板のない美味いラーメン屋を目指したような感じでしょうか。。。一回来てもらえれば、また食べたくなって再び来てもらえるような、そんなお店です。この「繰り返し来てもらう」ってことが、僕たちにとっては大事なポイントでした。

どこにどこまでこだわるかのバランス

自分でビジネスをすると決めた8年前から、リーン・スタートアップを念頭においてチーム作りをしてきました。正確に言うと、当時はそんな言葉を知りませんでした。今にして表現をすると、そんな考え方だったということですね。リーン・スタートアップに対する言葉の解釈はいろいろありますが、僕は「余剰がない」ということだと捉えています。この考え方は、愛知では以前より実践されている、「ムリ・ムダ・ムラ」を取るというトヨタ生産方式に影響を受けているようです。今思うと、僕の置かれてきた環境から「Toyota Way」が常に身近にあったため、そういう考え方を自然と持ったのかもしれません。

「ムラ」がない投資計画

上述のとおり極力ムダを排除していると言うと、投資も極力抑えているのだろうと思われるかもしれません。しかし、そんなことはありません。作業用マシン、各種デバイス、サーバ、ソフトウェア、作業スペース、ネットワークといった制作環境のハード・インフラについては必要な投資をしています。

自社のWebサーバなどは、スタート時点の当初からすると、相当不釣り合いなものを選択していました。大手企業様が使うようなハイスペック・高価格のサーバを構築することから始めたからです。最初は、jpeg1枚、会社概要がアップされているだけなのにです。サービスレベルが担保できる事を最優先にしたのです。そして、サーバ自体の提供もサービスメニューにラインナップしました。今となってはその高いサーバスペックが、僕たちのビジネスを支えてくれる、無くてはならないものになりました。

ハード面だけでなく、人に対しても同じ考え方です。お客さまを含む関係者各位とのコミュニケーションに使う時間は惜しみません。一例として、グランフェアズではプロジェクトを完了すると、打上げをすることにしています。それは、こういった時間が次のプロジェクトを必ず良いものにしてくれると考えているためです。こういったコミュニケーションの時間も重要な投資ですよね。投資はお金だけではありません。

グランフェアズは理想の居場所

徹底的にムダを排除するのも、必要なところに必要なだけ、「ムラ」がない投資ができるようにするためです。そんな筋肉質なチームにすることが、世の中に役立つサービスを高次元で提供することにつながると考えているからです。そして、出来る限り長く、みなさまから必要とされるチームでいたいと心から願っています。

グランフェアズは、様々なスキルを持ったメンバーで構成されています。でも、一人ですべてをカバーできるスキルを持ったメンバーはいません。だから、みんなで力を合わせることで素敵なことができないか、と考えたんです。特に、代表の僕は不器用で、すべてをカバーすることは出来ません。

強いチームを作ること

僕は仕事をするようになって、誰かのお役に立って「ありがとう。」と言ってもらえることに、やりがいを感じるようになりました。それも年齢・立場の違いや男女の性別も関係なく、いろんな方と一緒に仕事ができていろんな人の役に立つことは、すごく面白い経験でした。そうこうしているうちに、自分が持っているスキルを提供することで強いチームを作ることができたら、きっとすごくうれしいんじゃないかと考えるようになりました。自分が社長になる必要はありませんでした。世の中の誰かの役に立つことができる、理想の居場所があればよかったからです。でも、まだまだ歴史の浅いこの業界には、そもそもの居場所が少なかったんです。だから、居場所を探すより自分で作る方が近道なのでは、という考えに至りました。それが、グランフェアズというチームを始めた動機です。

この理想の居場所がずっと残っていくようにしていくことが、僕の役割だと思っています。