自分で持てるメディアの価値

「成功するWebプロジェクト」に必要な要素は何か。僕たちの経験から考える、Webプロジェクトが成功するポイントを考えてみたいと思います。

成功するうえで最も重要な要素とは

僕たちが考える、成功するうえで最も重要な要素は、目的とコンテンツがあることです。この2つは言語化されていなくてもかまいません。むしろ言語化されていることの方が稀なケースだと思います。大事なのは、この2つが『あること』です。この2つを言語化するのは、Webインテグレータ(制作側)が業務として担当する場合もありますし、お客さま(プロジェクト発注側)がすでに言語化した情報をお持ちの場合もあります。ただ、お客さま(プロジェクト発注側)が情報をお持ちの場合、各部署に情報が点在している場合も多いので、それをまとめていただく必要があります。

そして、Webマスター(お客さまのご担当者様。大規模プロジェクトの場合、Webインテグレータ側の場合もあります。)が果たす役割も重要です。Webマスターのプロジェクト全体への理解度は、プロジェクトの成否を直接左右してしまうほどの大きな影響力を持っています。Webマスターは、上記の『目的とコンテンツ』について、最も大切なこととしての意識を持っていることが必須です。上記のとおり、言語化されている必要はありません。しかし、何がしたいのか、どういったことを発信したいのか、を漠然とでも掴んでいなければなりません。プロジェクトの関係者がベストなパフォーマンスを発揮できるかどうかの鍵は、ここにあります。さらに、Webマスターの大切なポイントとして、コンテンツを言語化するのがお客さま側なのか、Webインテグレータ側なのかを判断できることです。ただ、コンテンツの元は、お客さま側にあります。だから、お客さまとWebインテグレータが、一緒になってコンテンツ開発をするんだという共通認識が大切です。

そして、プロジェクトの結果立ち上がったWebを閲覧する、「ユーザ」という存在について、自分ごととして意識することも重要なファクターです。苦労して立ち上げたWebというメディア・ツールを使うのは、プロジェクト外の人たちです。当たり前のことですが、このことを理解して、さらに最後までその意識を保つことは思ったより難しいことです。自分たちが用意したWebを使うユーザは、プロジェクトの都合や経緯はまったく知りません。ユーザにとっては、面と向かっているWebの画面がすべてです。横で上手な使い方を指南してくれる、ショールームスタッフさんのような人もいません。画面にある情報だけが頼りです。だから、設計というフェーズがプロジェクトの成否を分けるのです。

みなさんのWebは大切ですか?

Webプロジェクトは、建築に似ているかもしれません。Webを設計するIA(インフォメーションアーキテクト)は、さしずめ一級建築士にあたります。テレビ番組の「ビフォーアフター」で言えば、匠ですね。「ビフォーアフター」では、施主の生活習慣や人生の背景をきちんと汲んで、最終的なリフォームに反映しています。だから使いやすい家になるし、心の琴線に触れ、感動を生むんだと思います。家は自分の大切な住処です。生活の基盤だから、とっても大切なものです。その大切なものを、先々の生活も含めて素敵にデザインしてくれるから、施主は涙するのではないでしょうか。

では、Webプロジェクトの場合を考えてみます。みなさんのWebは大切にされていますでしょうか?大切なものでしょうか?ここも大きなポイントです。本当に大切なものが素敵にデザイン(※グラフィックがどうとかではないですよ。)されたら、とてもうれしいはずです。そして、こだわるはずです。経営者にとって、自分で持てるメディアは、相当な価値があります。だから、この相当な価値を預かったWebインテグレータは、お客さまのビジネス特性や市況をきちんと汲んで、最終的なWebリニューアルに反映すべきなんです。施主のこと(Webプロジェクトを委託するお客さま)を、その置かれている事情を、丹念に見ていく作業がキーになります。自分のことを真摯に見ていてくれる事ほど、うれしいことはありません。

つまり、大切なWebを持っているお客さまとそれを大切に考えてくれるWebインテグレータが出会うことが、最も感動するプロジェクトになるんだと思います。大切にされていないものはどれだけ素敵にデザインされても、使われないから感動も生みません。使わなかったら、何も起きませんからね。