何だか、1年に一度女子高生が来るとブログを書く、みたいになってしまいました。とは言え、書く価値のあるイベントですし、伝えたいこともあるので恥ずかしながら書きます!タイトルからわかるとおり、僕は北の国からのファンです。富良野にも何度も行きました!夏も冬も、富良野という場所はとてもいい情景を見せてくれます。
さて、気を取り直して本題に入ります。もうそんな時期になったのかと感じるのですが、名古屋市立工芸高等学校から17歳の高校生が就業体験にやって来ました。本記事は、来てくれた本人にも読んでもらいたいので、なるべくわかりやすく書くつもりです。(僕にとってはそれが一番難しいのですが。。。)
指導にあたるのは、名古屋市立工芸高等学校OGのめぐたん(長屋)です。自らもインターン経験者であり、社会人2年目のめぐたんは、もう慣れたものです。安心して任せることができます。あっという間に社会人らしくなり驚くばかりです。さらに、うっかりチカッパ先輩(服部)もサポートに入ってくれました。逆に、うっかりチカッパ先輩のいつまでも失われない天真爛漫ぶりにも、驚きは隠せません。
まずは、めぐたんがインターンで来た時の様子をご参考までに。
本人が嫌がるところ、有無を言わせず承認を取り付け掲載します。高校生の時ではなく、トライデントコンピュータ専門学校の時です。何とも初々しい!
めぐたんがインターンで来た時に本人が書いた記事も合わせてご覧ください。
僕が一緒に仕事をしたい人
名古屋市立工芸高等学校からのアンケートの中に、「貴事業所が求める人材についてお書きください」という質問がありました。僕はこの質問に下記のように答えました。
- 相手の意見を丁寧に聴く力
- 自分の意見を分かりやすく伝える力
- 物事に進んで取り組む力
僕はこの中でも相手の意見を丁寧に聴く力が、一番最初に身につけるべき能力だと考えています。社会人への導入として、最もわかりやすく、取り組みやすいことだと思うからです。
仕事をするうえで基本的なことだけど、絶対的な武器になるもの
大型ルーキーめぐたんとうっかりチカッパという、個性の違う2人の指導を受けることになった彼女。彼女もまた2人と違った個性を持っていました。ハキハキとしていて積極的で、明るい笑い声がとても印象的です。中でも特に印象に残ったのは、僕の眼をまっすぐ見て、大きくうなずきながら話を聴いてくれたことです。当たり前のことのように感じるかもしれませんが、これをちゃんとできる人には意外と出会えません。
彼女には、社会に出る前からすでに聴く力があったのです。
これはすごいことです。話をただ受け身で聞くことは、できる人も多いです。授業やテレビで、ただ聞き流すことには慣れているからです。(授業を聞き流しては、本当はいけないのですが。。。)そうではなく、意識して聴こうとすることが、彼女はできていたのです。
Webサイトが作れる前に、人の話を聴けること
Webサイトをマークアップしたり、アプリをプログラミングすることは、専門的な事です。技術を提供する専門職なので、ツールを使えることが働くために最も重要なことだと思われているところがあります。
確かにツールを使えないと仕事になりません。しかし、ツールを使えるからと言って、活躍できるわけでもありません。そこだけに焦点を当てていると、彼女のようにツールの使い方を学んできた学生が、ずっとWebの仕事に就いている経験者と並んでしまうことも有り得ます。就業体験やインターンを見ていると、デジタルネイティブとはそういうことだと実感します。
だから、ツールが使えるという横並びの状態から頭一つ抜け出るためには、Webサイトを構築できる技術の前に、まずは人の話を聴けることが、能力を伸ばしていくための絶対的な武器になると思うのです。
彼女も、思っていたよりデジタルネイティブ度合は高く、ツール類も難なく使いこなします。作業スピードも想定より早くて、タスクを新たに用意しないといけないくらいでした。
Webディレクターが磨くべき能力
さらに、Webディレクションをする時、この能力はとても役に立ちます。Webデザインをする時でも、少なからず持っておいた方が、仕事を依頼してくれた人に喜んでもらうことができます。ただ、アーティストには、こういった能力は重要ではないのかもしれません。ぶっ飛んでいて、人の話なんかまったく聞かない方が、個性的でその人ならではの面白いモノを作れることもあるでしょう。Webサイトをアートとして捉えるかどうかで、磨くべき能力は違ってくるのかもしれません。
ただ、活躍しているクリエイターの方たちは皆、この人の話を聞くこと=ヒアリングを重要視します。実際に、佐藤可士和さん、佐藤卓さん、水野学さん、小山薫堂さんといった方たちの本やインタビューにも共通して出てきます。
僕たちが磨くべき能力も、高校生である彼女がすでに持っている能力と同じであり、有名クリエイターが大事にしている能力とも同じものです。ただ、そのレベルが違うだけです。
絶対的な武器となるその個性を、これからも磨いていってほしい
何だか話が難しくなってきましたが、
社会人としての基礎力を学んでもらいたかった。そして、それはどんな仕事に就いても、役に立つ。さらに、その基礎力の基礎をすでに身に付けている彼女はすごい。
というのが、伝えたかったことです。とにもかくにも、こういった子がいると、社内が明るくなってとてもいいですね!僕のような経営者にも好かれる彼女の個性を、これからも大切にしていってほしいなと思います。
この3日間で、彼女の伝える力が進化した
高校生の彼女を見ていて、すごいな~と思ったことが、もう一つありました。それは、伝える力です。人の話を聞くことと同様、すでにその能力の基礎を持っていました。後半は、その伝える力がなぜ3日間で進化したのかに迫ろうと思います。伝える力がどこでどう役立ったかを、就業体験での具体的事例を通してご紹介してみようと思います。17歳の彼女にも、僕の言いたいことが伝わりますように!メンバーには当然伝わりますように!!
報告がプロジェクトの品質を左右する
僕たちの仕事は、作業工程が並行して進んだり、前工程と後工程が別の担当者でつながったりします。そうなると、下記の項目を共有することが必要になってきます。自分の作業が終わった、遅れている、ここを手伝ってほしい、などです。
- 誰が?
- 何を?
- どこまでやっているか?
Webディレクターは、これら複数人のメンバーの動きを把握して、それぞれの作業が滞ってしまわないようにします。その時、カギを握るのは報告です。この報告内容がわかりやすく、簡潔でタイミングが良いこと。これは大人数のメンバーが参加するグランフェアズのプロジェクトでは、とても重要です。
この報告の精度に、プロジェクトマネジメントは大きな影響を受けます。グランフェアズのプロジェクトマネジメントの大きな特徴として、精緻な工程管理があります。そのため、ベースとなる各メンバーの報告によって、コストやスケジュール、成果物の品質が大きく変わってきます。報告は、最も小さなタスクであると同時に、最も重要な要素でもあります。
ツールへの適応能力の高さ
報告作業は、Wrikeというプロジェクト管理ツール上で行なうのですが、高校生の彼女にもメンバーと同様、そこに参加してもらいました。彼女用のアカウントを発行して、実際のプロジェクトに招待しました。タスクを割り当てて、他のメンバーと同じように作業に当たってもらったのです。
彼女の適応能力は高く、すぐにWrikeに慣れたようでした。自分が求められていることも、どんどん把握していきました。彼女の報告は、社長である僕から見ても、わかりやすく的確でした。その報告内容から、何がどれぐらいできて、どれぐらいの時間がかかり、何が問題なのか、すぐ把握することができました。さらに、「こう思うけど、みなさんはどうか?」といった、自分の意見もきちんと盛り込まれていました。
聴く力は、伝える力を引き出す
なぜ、3日間でこれだけ伝える力が進化したかと言うと、聴く能力が高いからだと思うんです。
だから、何を求められているかをすぐさま理解し、それに沿った報告ができるようになったんだと思います。メンバーが「こう報告した方がいいよ」というアドバイスをしているところも見たのですが、その本人よりわかりやすい報告内容の時もありました。
報告・連絡・相談(ホウレンソウ)は、社会人の基本だと言われたりしますが、なかなかきちんとできないことだから、話題に上るんだと思います。恐らく何も知らない人がこのツールからやり取りを見ているだけだと、経験のある先輩メンバーたちと高校生である彼女は、区別がつかないと思います。
もう一つの大事な要素「物事に進んで取り組む力」
最後に、僕が名古屋市立工芸高等学校からのアンケートに答えた、一緒に仕事をしたい人の3つ目の要素である進んで取り組む姿勢を見せてくれたのは、社会人2年目のめぐたんでした。メンバーの成長を感じるのが、この就業体験の良さの一つでもあります。前回も、レスポンシブWebデザインに対応した新しいワークフローとチームワークが整ってきたことを感じることができました。今回は、物事に進んで取り組む力を、めぐたんをリーダーとしたメンバーが見せてくれました。
準備をする時期にさしかかった頃
めぐたんから全社に向けて、Wrike上でこんな発信がありました。
3日間なのでGitやSASS利用の作業は重そうです…。昨年と同じく単純作業とそうでないものはなるべくバランスよくしてあげたいと思っています。
それに対して、チカッパからはこのような反応が。
めぐたんからのご提案通り、私の方では格之進さんのコンテンツ作成をはじめ、比較的短時間でできるタスクが多くありますので、いくつか振出ができそうです。もしDreamweaverが使用できる環境ならメルマガでマークアップを体験してもらえます。
さらに、
就業体験としては地味な作業なので…。他にふさわしいWebぽい作業があれば、そちらを先にお願いする形でも構いません。
とそれぞれが、自分から進んで就業体験を迎え入れる準備を進めてくれました。また、彼女にこの仕事とグランフェアズを好きになってもらう気遣いもできていました。これらは僕から言ったことではありません。めぐたんを就業体験プロジェクトのリーダーに任命しただけです。メンバーそれぞれの進んで取り組む力がかけ合わされていて、とてもいいです!!
体験した仕事が、世の中に出ていく!
今回は、こういった作業をしてもらいました。総務的なことからアイコンフォント作成まで、結構幅広く体験してもらうことができたと思います。このタスクを決めたのも、めぐたんとチカッパです。僕は何一つ言っていません。
今回やってもらったことは、世の中に出ていく仕事がほとんどです。さらに、テレビ番組に頻繁に取り上げられている、知名度の高い企業さんのサイトも含まれています。当然、シビアな仕事も多く含まれているのですが、先輩メンバーがきちんとフォローしていました。それも、Wrike上で報告がきちんとされているので、僕も安心して見ていられます。
- favicon, apple-touch-icon作成
- アイコンフォントの作成
- CMSを使ってのコンテンツ登録
- メールマガジンのヘッダービジュアル作成
- 社内ブログの画像作成
- お茶出しと野菜の分配
faviconは自分で作り方を調べてもらいました。調査からやってもらおうとなったのも、めぐたんの発案です。アイコンフォントは、下に掲載したような感じです。コンポーネントの一部に組み込んでいます。野菜の分配は、僕の実家で採れた野菜をメンバーみんなに持って帰ってもらえるように袋分けをする、というイレギュラータスクです。そういうのもを含めて、チームの雰囲気を包み隠さず見せるのが、グランフェアズの社風なのかもしれません。
教えることは、自分を振り返ること
就業体験やインターンを迎え入れる時、準備をどこまでできたかが、いい体験になるかどうかのポイントだと思います。この準備段階に、メンバーが【仲間と仕事】をどう捉えているかが反映されます。学生さんを単なるアルバイト扱いするのか、それともこの仕事を好きになってもらいたいのか。自分の仕事に誇りを持っていれば、いい体験ができたって思ってもらいたい、この仕事を好きになってもらいたい、と思うはずです。誰かに教えるということは、自分ができているかを振り返ることでもあるのではないでしょうか。この迎え入れる時の振る舞いによって、ディレクターとして仲間をどう見ているかがわかります。
高校生の彼女に教える時、教えたメンバーたちも彼女の聴く力と伝える力を感じたはずです。同時に、自分ができているかどうかを無意識に振り返ることになったと思います。なぜなら、伝わっているかどうかを確認しないと、次のタスクを振り出しにくいからです。聴く力と伝える力は、恐らく今後めぐたんがぶつかる壁だと思います。高校の伝説の先輩であるめぐたんは、たしかに優秀です。しかし、この2つの力についての素質は、後輩の彼女も負けていません。本記事を読んで、その力が自分に備わっているのか、常に磨けているのかを、めぐたんにも振り返ってもらえるといいなと思います。チカッパ先輩も、聴く力があったので、苦手だった伝える力が伸びていったんだと思います。それは、スタッフブログの上達にはっきりと現れています。
今年もありがとうございました!
通常ではまず接することが無い高校生と話すことは、僕たちにとってとても刺激になります。自分たちがしていることを振り返るきっかけになりますし、こうやってブログを書くことができたりもします。こういった機会をいただいた、名古屋市立工芸高等学校の加藤先生には改めて御礼申し上げます。
最初に加藤先生とやり取りをした創業時は、高校生を迎え入れる余裕なんて、まったくなかったんです。それを思うと、こうやって迎え入れる体制を作れたことを、取締役始めメンバーのみんなに心から感謝する次第です。
いつもありがとうございます!
就業体験名物の手焼きせんべい。