「専門性を高めるためには、それぞれの部署で集中して取り組むべき」
「リードの質を評価するためには、マーケティングと営業は分けた方がいい」
「営業は営業でKPIを持ち、マーケティングはマーケティングでKPIを持つほうが評価される」
こんにちは!岡崎(@okazaki__shiho)です。
現在、弊社のサービス「Pivot-Form」で、1人営業・マーケティングを担当しています。
最近冒頭のような意見をよく耳にします。実際、特にBtoB企業では「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」など、営業活動の細分化が進んでいることが多いですよね。
私自身、以前は「営業なんてしたくない!マーケティングがしたい!」と思っていた一人でした。でも、この1年間マーケティングと営業を同時に担当してきて、最近ようやく『両方を兼務する大切さ』が分かってきました。
両方を担当している立場から見えてきたことを共有させていただこうと思います。同じように片方の部門で悩んでいる方、または両方を担当することになった方の参考になれば嬉しいです。
この記事は B2Bマーケアドベントカレンダー 5日目の記事です。
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『営業』から逃げてた大学時代の就職活動期
まず、『営業』という職業に対して、皆さんはどんなイメージを持っている、もしくは持っていたでしょうか?私は「押し売りがすごい」「しつこい」「数字だけで評価される」といった、漠然とネガティブ全開なイメージでした。
今思うと経験しておけばよかったなと思いますが、アルバイトも販売職の応募は避けていたので『対面でものを売る』という経験をしたことがありません。
大学時代の就職活動でも、できる限り「営業」と書かれているものへの応募は避けていた記憶があります。就職活動では苦戦をしましたが、運良くグランフェアズで『Webディレクター』としての採用をしてもらいました。
ただ、会社の事業や強みが徐々に変化していき、最終的に私はBtoBサービスの『営業・マーケティング担当』となりました。私の人生において、『営業』からは逃れられない運命だったみたいです。
やってみたら意外と地道なマーケティング職
では、今度は営業とは反対に『マーケティング』というと、皆さんはどんな印象でしょうか?私は、「クリエイティブな職種」「自分の考えたアイデアが形にできる」「いろんなスキルが身につく」と、営業とは反対にポジティブな印象でした。
ただ、実際はそんなことはなく、地道な作業も多いマーケティング職。いざ挑戦してみて、あらゆる壁に直面しました。
コンテンツ作成の難しさ
まず、1つ目にコンテンツ作成の壁にぶつかりました。「面白いコンテンツを作ろう!」と意気込んだはいいものの、書いては消して、書いては消しての繰り返し。それで、一日が終わってしまうこともありました。
なぜこんなに書けないのか考えてみると、以下の理由が出てきました。
- ユーザーが実際にどんな課題を抱えているのかを知らない
- どんなことに困っているのかが分からない
また、「上手に書きたい」「これは書かない方がいいかな」「こんなこと書いたら怒られそう、嫌われそう」など、無意識のうちに考えながら書いてしまっていたことも原因にあると思います。Webサイト上の情報だけを頼りに記事を書こうとしても、表面的な内容にしかならず、何度書き直しても納得のいく記事が書けませんでした。
そのときに森野さんから次のように教えてもらいました。
「全部書くんだよ。書くときは書くことに集中。その次にどう見せるか考える」。
それ以来、まずは考えずに書くよう意識しています。
サイト改善が分からない
また、サイトのデータ数値自体は分かっても、どんな改善したらいいかの方向性が分かりません。
GA4やヒートマップツールからは「このページの離脱率が高いな」や「この部分で一気にユーザーが離れている」という事実は分かります。でも、なぜそこで離脱しているのか、どんな情報が足りないと感じているのかが分からないのです。
数字を読み解く経験やスキルが足りていないのか、問題を細分化できていないのか、ユーザーの実際の行動や感情を知らないからなのか…。私自身の課題を考えてみても、無限に思いつきます。ただ根本的な原因なのは、データだけを見ていて、その背景にある「人」の要素が見えていなかったからなのかもしれません。
曖昧なターゲット設定
コンテンツ作成もサイト改善も、「ユーザーのことが分かってない、もしくはユーザーの気持ちが分かってない」ことが原因だと思いました。
そこでターゲットを考えてみるのですが、マーケティングの教科書を読んで「20代後半、Web制作会社のディレクター」「30代前半、人事部で採用業務担当」など、ペルソナを作ってみましたが、どうもしっくりきません。こっちもネットで調べただけの表面的な内容にしかなりませんでした。
こうしてあらゆる壁にぶつかり「このままでは、誰にも響かないコンテンツを作り続けることになる」と気づいたとき初めて、実際のユーザーの声が聞ける営業の重要性を知りました。
営業×マーケティングで役立ったこと
営業とマーケティングを両方やってみて、役立ったことは以下です。
実際にいただいた質問がFAQやブログ記事になった
毎回聞かれることをその都度同じように説明しなくてはいけない場合ってありますよね。そうなったとき、簡単に説明したうえで「詳細はここに書いてます!」といったブログ記事やFAQが欲しくなります。
特に技術的な内容になると、テキストだけでの説明だけでは伝わりきらないこともあります。そんなとき、図解入りの説明資料があれば、お客様のペースで理解を深めていただけますよね。
「聞かれる→調べる→記事にする」ことでサービスの理解につながった
営業活動をしていると、時にはすぐに答えられない質問を受けることがあります。
そういった質問を受けると「確認して後ほどご連絡しますね」と答えていました。ですが、その質問を社内で共有すると「こうしてしまうとセキュリティが危険だからこんな工夫をしているんだよ」と教えていただき、思いがけないところでサービスの理解が深まることが度々ありました。
そのほか、競合比較について聞かれたときも単に違いを調べるだけでなく、「なぜその違いを気にされているのか」「どんな課題を解決したいのか」という背景まで考えるようになりました。また、その比較内容をブログ記事にまとめることで、同じような疑問を持つ方々にも伝えることができました。
いろんな視点を知れる
いろんなイベントに参加し始めたころ、毎回知らない方ばかりでした。ただ、何度か同じようなイベントに参加すると「以前も見かけたな」という方が何名か出てくるのです。もちろん再会できるのは嬉しいのですが、毎回同じ方と話していてもせっかく来た意味がありません。そうなると、別のコミュニティの方とも話したくなります。
ただ、そうした違うコミュニティの方と話をする際に「うちのサービスはこういうものです」という説明だけでは、なかなか会話が進みません。そんなとき、マーケティングの視点が大きな助けになりました。競合分析や日頃の情報収集、Webサイトでのユーザーの分析など、日々のマーケティング活動で得た知識が、新しい会話のきっかけになったり、相手への理解につながりました。
まとめ:営業もマーケティングもお客様の困りごとを解決するためにおこなうこと
と、最後まで書いた後、営業やマーケを始めたときに読んだ、森野さんが書いた本を改めて読み直しました。そこには以下のように書いてあります。
聞かれること=調べたいこと=検索する、と言えます。
小さい会社のウェブマーケティング必勝法 POD版]: 未経験・低予算・独学でホームページリニューアルから始める
社内で起きることを注意深く見ていれば自然と生まれてくるコンテンツです。目の前で起きること、聞いたことについて、常に「コンテンツにできないか?」という意識を持っていれば、驚くほどたくさんのネタが出てきます。無理に探したり企画をひねり出そうとするのではなく、社内外で起こる、一見すると自分には関係なさそうに見えることであっても、「コンテンツにできないか?」の視点で注意深く見るようにしてみてください。
すでに、本にまとめてありました。初めて読んだときは理解していたつもりでしたが、実際に実践してみることでようやく深く理解できました。
正直なところ、いまでも営業に対する苦手意識は完全には消えていません。ただ、「自分がされて嫌な営業はしたくないな」と思います。
もちろん失敗したこともあります。ときに「売らなければ」という焦りから、かつての自分が嫌っていた押し売りをしてしまうこともありました。社内からは「自分が話そうとするのではなく、相手の話を聞きなさい」とよく言われています。
そのほか、森野さんからも以下のように教えていただいてます。
「自分のことが基準で考えているからわからん。」
「一問一答みたいに聞くんじゃなくて、会話をするともうちょっと話が引き出せる。」
「相手のことをよく知ってくれればいい」
これからも失敗や試行錯誤は続くと思います。でも、営業もマーケティングも、結局は「お客様の困りごとを解決すること」という同じゴールに向かっているのだと思えば、無理に切り替えることなく、両方の視点から考えられるようになってきました。
まだまだ完璧とは程遠いですが、営業・マーケティングの担当者として、一歩ずつ成長していきたいと思います。
おまけ:アドベントカレンダー参加のきっかけ
参加のきっかけは、このアドベントカレンダーを作成された瀬川さんが「ガラ空きでピンチ」とつぶやかれていたためです。日頃、お世話になっているので「微力ながら助けなくては」と思いながら、しばらく仕事をしていると、あっという間にほぼ埋まってました。なので慌てて今日を埋めたのですが、瀬川さんの影響力はすごいな、と改めて思い知らされました。
ちなみに、瀬川さんが「岡崎はあと5倍頑張れる」と言っていたと人伝に聞きました。これからもマーケターの瀬川さんの背中を追いかけて頑張ります。
明日のアドベントカレンダーは、 石田浩之さん(@h_ishida_web)の記事「デジマ支援業で独立して2ヶ月感じた、独立までにしておくべきこと」です!会社員時代も、私が運営しているもりもり勉強会に何度も来てくださる、勉強家な方です。最近独立された石田さんのお話、とても楽しみです。