ディレクション:運営堂サイトリニューアル (1)

森野さんの運営堂サイトのリニューアルをお手伝いしました。役回りとしては、全体ディレクション/サイト設計/サーバ関係の3つです。

メンバーは全員フリーランスで活躍されている方々。グランフェアズではどの案件でも社外のメンバーを交えてチームを編成しますが、今回特殊だったのは、自分がメンバーをアサインしていないこと。どちらかというと「アサインされた」形です。お会いしたことはあるけれど、お仕事上の考え方や得意・不得意、好き・嫌いを深くは知っていない方ばかり。

この「お互いを知らないメンバーがいる中で、オンラインベースでどうディレクションをしてくか」が、今回進行するうえで一番考えた部分でした。
運営堂さんのリニューアルについて、いくつか記事を書く予定ですが、まず初回はディレクションについて、振り返りたいと思います。

今回のディレクションのポイント

運営堂さんのサイトは全体がWordPressで構築されていて、一番最初の記事は2007年。有効なページ数は約2200。マンモスブログですね。中には日本語URLも多数混じっていて、リニューアルではこの辺りも課題になるだろうなという印象でした。

森野さんから事前にヒアリングしていた「やりたいこと」は次です。

  • サーバ移転
  • MFI対応(レスポンシブWebデザイン化)
  • AMPとPWA
  • 日本語URLを直したい
  • もっさりしてるので高速化
  • 常時SSL化

今回のケースのようにプレイヤーが多数いる場合、「AさんとBさん両方に被る要件」が要整理ポイント。またサイト全体がWordPressだという前提条件が一番考慮しないといけないところです。

整理すると、次の点を早めに決めておきたいなと思いました。

  • 誰が何を決める?
  • 制作上のルールや前提を合意する
    1. マークアップのレギュレーションはどこに合わせる?
    2. 制作時の環境はどうする?どう共有する?
    3. どのタイミングでSSL化する?

そもそもの要件にどう対応するかを整理すると同時にこれらも明確になるように、資料「制作要件の整理.xlsx」を作成・共有しました。

制作要件の整理

実際に共有したファイルは次のようなエクセルです。

制作要件の整理:エクセル


→実際のファイルをPDF化したもの(PDF:170KB)

要件を複数人で詰めていく時に大事にしていることは、自分の意見を最初に示すことです。課題だけ洗い出して「さぁみなさん、いかがでしょう?」と振り出しても、受け側はどこから議論をスタートしていいか分からないので、返事をしにくいですよね。私の示した議論のスタートポイントが違っていたら、「それより先にこれを話さないとだめじゃない?」とリアクションしてもらえるので、そちらの方がありがたいです。

あと、誰にその議題をリードしてほしいかを伝えるようにしています。それが、表中の青文字の部分ですね。「誰が何をやる」かはその人の職種やスキルから共通認識が持ちやすいですが、「誰が何を決める」かは、それ自体を決めておかないとボールが宙に浮いたままずーっと進んで、いつの間にか「誰かによってそうなった」という状態になりがちなので、敢えて明確にするようにしています。

共有方法はエクセルでいいのか

別の角度で考えないといけないのは、これらの課題をどういう方法で議論していくべきか、という点。今回は特に、みんなバラバラに活動しているのでどうしようかなと悩みました。「サイボウズLive」を共有していたので、そこを使う選択肢もありましたが、結果は多分こうなります。

  • 一つの掲示板で全部やりとり
    → 議題が入り乱れてとっ散らかる。
  • 議題ごとにスレッドを分けてやりとり
    → 関連している議題が把握しにくい。関連性が見落とされる。

一番粒度の大きな課題として一覧性を確保したかったこと、中間成果物として結論を残したかったこと、取り組む時間がみんな違うことから、ベタですがエクセルを選びました。
(Macの方にはエクセルでも大丈夫か確認するといいですね。)

今回はみなさんスムーズに対応していただいて、時間をかけずにこのフェーズを終えることができました。後はスケジュールを組んで一つ一つ進めればいいだけです!

まとめ

今回一番悩ましかったのは、やはり「仕事をみっちり一緒にしたことがないメンバーの中でディレクションをする」ということでした。どこまでをこちらで決めて、どこからお任せするのが一番いいのかが読めないからです。組織のローカルルールや阿吽の呼吸が効かないってことですね。

いつも、誰か初めてご一緒する方がいる場合は、できるだけパフォーマンスを発揮してもらえるように動きたいと思っています。今回はみなさん個人で独立されてる方ばかりですし、私が動きを妨げることがないように… それでも全体の方向性はズレないように… そういった点が難しかったですね。

反面、設計が終わってデザインや開発に入ってからは、デザイン担当の浅野さん、マークアップ担当の熊田さん、開発担当の野村さん、それぞれがどんどん進めていってくれて、私は俯瞰して見ておくだけだったのでとても楽でした(笑)。

プロジェクトの全体像については、森野さんがシリーズで記事にしてくれてるので、ぜひご覧ください。

サイトリニューアル – 運営堂

運営堂サイトのリニューアルについてまとめています。自社サイトのリニューアル前に読むと参考になると思います。